タミフルの緊急安全情報
2007.3.21


緊急安全性情報(ドクターレター)
http://www.info.pmda.go.jp/kinkyu_anzen/kinkyu_index.html

中外製薬株式会社 タミフル服用後の異常行動について
http://www.info.pmda.go.jp/kinkyu_anzen/kinkyu20070320.pdf

2007年3 月 No.06-01
タミフル服用後の異常行動について

 抗インフルエンザウイルス剤、タミフルカプセル75、タミフルドライ
シロップ3 %につきましては、今年2 月に入り、タミフルを服用したと
みられる10代のインフルエンザ患者様が、自宅で療養中、自宅マンショ
ンから転落死するという痛ましい事例があったことから、2 月28日、厚
生労働省は、医療関係者に注意喚起を行ったところです。弊社におきま
しても、インフルエンザ治療開始後の注意事項についてご説明いただく
ようお願いして参りました。
 しかしながら、3 月20日、タミフルの服用後に10代の患者様が2 階か
ら転落して骨折したとする症例が2 例報告されたことから、本剤の使用
に際しましては、特に下記の点に十分注意下さいますようお願い申し上
げます。
----------------------------------
 10歳以上の未成年の患者においては、因果関係は不
明であるものの、本剤の服用後に異常行動を発現し、転
落等の事故に至った例が報告されている。このため、こ
の年代の患者には、合併症、既往歴等からハイリスク患
者と判断される場合を除いては、原則として本剤の使用
を差し控えること。
 また、小児・未成年者については、万が一の事故を
防止するための予防的な対応として、本剤による治療
が開始された後は、1)異常行動の発現のおそれがある
こと、2)自宅において療養を行う場合、少なくとも2 日
間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配
慮することについて患者・家族に対し説明を行うこと。
なお、インフルエンザ脳症等によっても、同様の症
状が現れるとの報告があるので、上記と同様の説明を行
うこと。

お問合わせ先:中外製薬株式会社医薬情報センター
TEL : 0120-189706

-------------------------------------

【警告】の項を以下のように改訂しました。

タミフルカプセル75
【警告】

1.本剤の使用にあたっては,本剤の必要性を慎重に検討すること
(〈効能・効果に関連する使用上の注意〉の項参照)。
2.10歳以上の未成年の患者においては、因果関係は不明であるものの、
本剤の服用後に異常行動を発現し、転落等の事故に至った例が報告され
ている。このため、この年代の患者には、合併症、既往歴等からハイリ
スク患者と判断される場合を除いては、原則として本剤の使用を差し控
えること。
 また、小児・未成年者については、万が一の事故を防止するための予
防的な対応として、本剤による治療が開始された後は、1)異常行動の発
現のおそれがあること、2)自宅において療養を行う場合、少なくとも2
日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮することに
ついて患者・家族に対し説明を行うこと。なお、インフルエンザ脳症等
によっても、同様の症状が現れるとの報告があるので、上記と同様の説
明を行うこと。
3.インフルエンザウイルス感染症の予防の基本はワクチン療法であり,
本剤の予防使用はワクチン療法に置き換わるものではない。


タミフルドライシロップ3 %

【警告】
1.本剤の使用にあたっては,本剤の必要性を慎重に検討すること(〈効
能・効果に関連する使用上の注意〉の項参照)。

2.10歳以上の未成年の患者においては、因果関係は不明であるものの、
本剤の服用後に異常行動を発現し、転落等の事故に至った例が報告され
ている。このため、この年代の患者には、合併症、既往歴等からハイリ
スク患者と判断される場合を除いては、原則として本剤の使用を差し控
えること。


また、小児・未成年者については、万が一の事故を防止するための予防
的な対応として、本剤による治療が開始された後は、1)異常行動の発現
のおそれがあること、2)自宅において療養を行う場合、少なくとも2 日
間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮することにつ
いて患者・家族に対し説明を行うこと。なお、インフルエンザ脳症等に
よっても、同様の症状が現れるとの報告があるので、上記と同様の説明
を行うこと。
3.本剤の予防効能での使用は推奨されていない。

+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

平成19年3月20日
厚生労働省
医薬食品局安全対策課
タミフル服用後の異常行動について
(緊急安全性情報の発出の指示)


1.製品の概要
一般名:リン酸オセルタミビル
販売名:@タミフルカプセル75
(効能・効果) (A型又はB型インフルエンザウイルス感染症及びその予防)
Aタミフルドライシロップ3%
(A型又はB型インフルエンザウイルス感染症)

薬効分類:抗ウイルス剤

製造販売業者:中外製薬株式会社

国内供給量:約860万人分(平成17年度冬シーズン)

2.経緯
(1)リン酸オセルタミビル(タミフル)は、A型又はB型インフルエンザウイ
ルス感染症(カプセル剤については、その予防を含む。)の適応を有する経
口薬である。我が国では、平成13年2月から販売されている。

(2)タミフルによる「精神・神経症状」については、因果関係は明確ではない
ものの、医薬関係者に注意喚起を図る観点から、平成16年5月、添付文書
の「重大な副作用」欄に「精神・神経症状(意識障害、異常行動、譫妄、幻
覚、妄想、痙攣等)があらわれることがあるので、異常が認められた場合に
は投与を中止し、観察を十分に行い、症状に応じて適切な処置を行うこと。」
と追記した。

(3)今年2月に入り、タミフルを服用したとみられる中学生が自宅で療養中、
自宅マンションから転落死するという痛ましい事例が2例報道された。この
ことなどを受け、万が一の事故を防止するための予防的な対応として、特に
小児・未成年者については、インフルエンザと診断され治療が開始された後
は、タミフルの処方の有無を問わず、異常行動発現のおそれがあることから、
自宅において療養を行う場合、
@異常行動の発現のおそれについて説明すること、
A少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮
することが適切と考え、2月28日、その旨を患者・家族に対し説明するよ
う、インフルエンザ治療に携わる医療関係者に注意喚起した。

(4)上記(3)のような予防的な対応を行ってきたが、本日(3月20日)、
タミフルの服用後に12歳の患者が2階から転落して骨折したとする症例が
1例報告された。また、本日(3月20日)、2月上旬にタミフルの服用後
に12歳の患者が2階から転落して骨折したとする症例についても報告がな
された。

これら個々の症例の評価は、今後の詳細な情報を受けて行われるが、タミ
フル服用後に発現したという事実が確認されたことから、今般、添付文書を
改訂するとともに、「緊急安全性情報」を医療機関等に配布し、タミフル服
用後の異常行動について、更に医療関係者の注意を喚起するよう、中外製薬
株式会社に指示したところである。

3.対応

(1)厚生労働省
中外製薬株式会社に対し、添付文書の改訂、「緊急安全性情報」の作成及
び医療機関等への配布を指示した。
(2)中外製薬株式会社
ア「緊急安全性情報」を配布し、下記イの添付文書の改訂内容を医療機関
等に対し、速やかに伝達する。
イ添付文書の改訂内容
現行の「警告」欄の記載を次のように変更し、あわせて「使用上の注意」
を整備する。

【タミフルカプセル75】
1.本剤の使用にあたっては、本剤の必要性を慎重に検討すること。
2.
10歳以上の未成年の患者においては、因果関係は不明であるものの、
本剤の服用後に異常行動を発現し、転落等の事故に至った例が報告され
ている。このため、この年代の患者には、合併症、既往歴等からハイリ
スク患者と判断される場合を除いては、
原則として本剤の使用を差し控
えること。

また、小児・未成年者については、万が一の事故を防止するための予
防的な対応として、本剤による治療が開始された後は、

@異常行動の発現のおそれがあること、
A自宅において療養を行う場合、少なくとも2日間、保護者等は小児
・未成年者が一人にならないよう配慮することについて患者・家族に
対し説明を行うこと。

なお、インフルエンザ脳症等によっても、同様の症状が現れるとの報
告があるので、上記と同様の説明を行うこと。

3.インフルエンザウイルス感染症の予防の基本はワクチン療法であり、
本剤の予防使用はワクチン療法に置き換わるものではない。

【タミフルドライシロップ3%】

1.本剤の使用にあたっては、本剤の必要性を慎重に検討すること。
2.10歳以上の未成年の患者においては、因果関係は不明であるものの、
本剤の服用後に異常行動を発現し、転落等の事故に至った例が報告され
ている。このため、この年代の患者には、合併症、既往歴等からハイリ
スク患者と判断される場合を除いては、原則として本剤の使用を差し控
えること。

また、小児・未成年者については、万が一の事故を防止するための予
防的な対応として、本剤による治療が開始された後は、
@異常行動の発現のおそれがあること、
A自宅において療養を行う場合、少なくとも2日間、保護者等は小児・
未成年者が一人にならないよう配慮することについて患者・家族に対
し説明を行うこと。なお、インフルエンザ脳症等によっても、同様の
症状が現れるとの報告があるので、上記と同様の説明を行うこと。

3.本剤の予防効能での使用は推奨されていない。

【参考:製造販売業者照会先】
中外製薬株式会社
医薬情報センター
TEL:0120-189-706
(照会先)
医薬食品局安全対策課
TEL:03-5253-1111
内線2749